漢方・薬膳・中国茶の紹介サイト『花於菟~はなおと~』です^_^
今回は、五味子という果実について、東洋医学で言う五行の五味調和を交えてお話させていただきます。
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ご存知の方は「ゴミシ茶(オミジャ茶)」という韓国の果実茶を思い浮かべるかと思います。そのゴミシです。
韓国では当たり前のようにお茶として親しまれていますが、日本では生薬に分類されているスーパーフードなのです。
《原産と特徴》
元は「チョウセンゴミシ」と呼ばれ、ザクロのように赤く実る秋の果実です。
水に浸ければ色が溶け出て綺麗なピンクの水溶液になります。
《名前の由来》
皮と果肉には「甘味/酸味」があり、種(核中)には「辛味/苦味」、全体的には「鹹味(=塩味」という「五味」を併せ持つことから、「五味子」と名付けられました。
《生薬としての味の分類》
これは、「酸味」「甘味」として分類されます。主に「酸味」なのですが、上記のように果肉は「甘味」も含まれます。実際、五味子茶は甘酸っぱいです!
《効能》
☆滋養強壮/疲労回復/咳止め/鎮静作用/気管支炎の緩和/去痰作用/清熱作用など
☆五味にはそれぞれ役割がありますが、五味子は五味を備えているので万能なのです。
☆主に「酸味」が強いので「肝臓」に働き、気持ちを鎮めますが、「酸味」は「五行」で言うと「春」に位置することから、「春」の不調(鼻水の出るような、痰の絡む咳など)も鎮めてくれます。
《五味と役割》
★「酸味」は肝臓が喜びます。春には、冬の冷気で固まった気が温まって外に出始めるため不安定になりやすく、特に肝臓に負担がかかり、イライラしやすくなります。変な人も活発にウロツキ始めるのは気が緩むためです。そんな肝臓を助けるのが、この「酸味」です。肝臓が穏やかに働けば、心も静まり、気も引き締まります。ただし「酸味」を摂り過ぎれば胃が痛くなるので、「甘味」で調和をはかります。
★「甘味」は脾(=東洋医学では消化器)が喜びます。酸味の刺激を抑えるだけでなく、滋養強壮、疲労回復の効果もあります。これから湿気の多い季節が来ますが、湿気の多い時期(五行では長夏)のダルさも乗り切る役割を担ってくれます。ただし摂り過ぎれば髪が抜けたり太りやすくなったりします。更に過剰になれば尿糖などで腎臓に負担が出ます。また髪は腎臓とも関連があるので「鹹味(塩味)」で調和をはかります。
★「辛味」は血流を良くして体を温めるため、まだ冷える春の寒暖差を乗り切る力を与えてくれます。摂りすぎると筋肉がつりやすくなるので辛味の過剰は注意が必要です。筋肉は肝臓と関連するため「酸味」を合わせて調和をはかります。
★「鹹味(塩味)」は「甘味」の弱点であるブヨブヨ太る性質や、腎臓と関連する毛髪が傷むといった性質を緩和する働きがあるため、良質な自然塩や貝類を摂ることで甘味の弱点を抑えながら、また便秘など体内に固まったものを緩めて排泄する働きを持ちます。しかし摂りすぎると血液が粘り血圧が上がるため、心臓に負担がかかります。そこで血液をサラサラにする「苦味」を合わせて摂り調和をはかります。
★「苦味」は血液をサラサラにしたり、塩分や湿気、水分代謝の低下による余分な水気を外に出してくれます。ただし摂り過ぎると体温調節していた水まで外に出してしまい体が冷えて風邪をひきやすくなり、咳き込むなど肺に負担がかかります。しかも冷えることで、肺と関連する大腸にも影響して下痢などを起こします。なので体を温める「辛味」で調和をはかります。
《終わりに》
食材には五味が備わっているというのが東洋医学の考えです。その五味の特性によって季節ごとに調和を考え献立を立てることもまた薬膳のひとつです。
そんな五味が、ひとつの食材に全て備わっている五味子は、まさにスーパーフードなのです。だからこそ、鎮静作用、疲労回復、咳止め、清熱作用など五味の各特性が詰まっているのです。食材としてはなかなか手軽に手に入れにくいですが、五味子茶であれば、わりとネットでも購入出来るかと思います。
春だけでなく、これからの湿気の季節にも良いので、機会があれば、五味子茶を飲まれてみてくださいね〜。
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以上、小話でした、花於菟(はなおと)からでした。
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