漢方・薬膳・中国茶の紹介サイト『花於菟~はなおと~』です^_^
今日は、漢方薬の処方を決める「君臣佐使」の考えと漢方・和漢の違いなどに触れて小話をさせていただきます。
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【君臣佐使】-漢方と和漢-
漢方薬を漢方と呼ぶ人もいたり、中国医学を漢方と思う人もいらっしゃいます。
少しだけ分類について触れたあとに、実際の漢方薬の処方の仕方についても小話してみますね。
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《漢方の由来》
西洋医学(オランダ医学)が来日したとき日本ではオランダを「和蘭」と呼び、オランダ医学を「和蘭医学」と呼んでいました。その方法を日本で根付かせるとき、「蘭方」と呼び名を変えました。
東洋医学も然りです。
東洋医学を代表する中国医学は、来日のとき日本に合った形で根付かせる方法として「漢方」と呼ばれるようになりました。つまり漢方薬は日本のものであり、日本人向けの漢方の考えで生薬を処方したものが漢方薬と呼ばれます。
まとめると
西洋医学: 和蘭医学⇒日本では「蘭方」
東洋医学: 中国医学⇒日本人用が「漢方」
漢方: 中国医学をもとにした「医学」
漢方薬: 日本人向けに生薬を処方した「薬」
となります。
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《漢方・和漢》
漢方: 中国医学をもとにしている医学
和漢: 漢方と「和(日本)」をコラボさせて「日本専用」にアレンジしたようなもの
《薬膳・和漢膳》
薬膳: 漢方に基づいた食事形態
和漢膳: 日本人の体質に合わせて漢方と和を調和させた食事形態
《日本の体質》
日本人は、高温多湿の風土から、「湿」(湿っている/水が内にこもりやすいなど)の性質を持ちます。水はけや水の巡りが遅く熱中症にかかりやすい、手足が冷えやすくのぼせやすい、めまいが多く汗をかきにくいなどが多いです。特に晩春から秋口にかけて不調が起こりやすい体質です。
日本に住んでいてこのような症状が多い人は、水はけのよいまたは水の巡りを助ける作用のある、杜仲や緑豆、薏苡仁(ハトムギ)やドクダミ、茯苓といったものもおススメです。また水が滞ることで、気滞(気が滞ってのぼせてイライラしやすくなるなど)、瘀血(血が滞って血行が悪くなるなど)も生じるため、気を鎮めたり巡らせたりできる紫蘇や陳皮、龍眼肉や薄荷、酸棗仁など、また体を温め血行を良くする玫瑰や紅花、大棗などがオススメです。
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《君臣佐使》
漢方薬の処方を決める上で重要になってくるものがこの「君臣佐使」の考えです。
君: その薬の主君となる、一番の目的の生薬
臣: 君薬と類似の働きをする助長薬
佐: 君薬と臣薬の足りない働きを補う補佐薬
使: 君薬と臣薬の毒性を緩和する使役薬
このように漢方薬を作る際は、症状に対して目的を持って処方を組み立てます。
生薬を何十種類も配合したからと言って、君薬の存在が薄れては目的がなくなります。
また10種類以上の組み合わせは、10種類までの組み合わせとさほど効果が変わらず、逆に君薬の効能が阻害されることもあります。まれに13種類の漢方薬もありますが、それはその必要があったための特殊な処方ということになります。
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漢方薬は資格がなければ作れませんが、もしご自身でちょっとした薬膳茶みたいなものを作るときは、ぜひこの「君臣佐使」を意識してみて下さいね。
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写真のものは、最近湿気が多くて生温かく昼と夜の温度差もありバテているので、気を巡らせる用に作ったお茶の処方です。
左から時計回りに
君}紅花(体を温めて血行を良くする)
臣}玫瑰(体を温めて気を巡らせる)
左}枸杞(胃と肝を助け体力をつける)
左}陳皮(胃を助けゲップなど気滞を緩和)
使}菊花(清熱解毒鎮静作用)
使}薄荷(清頭清熱鎮静作用)
気の巡りを良くしたり香りの良いものなので、煎じてしまうと効果が薄れます。
これらは湯だけで蒸らして飲むのがオススメです。枸杞や陳皮は、蒸らしたあと食べても良いです。
以上、小話でした、花於菟(はなおと)からでした。
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